骨足りないし心臓多い

考えてること書く

キュ

仕事が早番の日は退勤したあと英会話を習いに行くのだが、腹が減っていると集中できないので近くのプロントで夕飯を食べてから行く。今そのプロントで記事を書いている。

なんでプロントなのかというと、2階全域でタバコが吸えるので広々していて好きなのが理由。で、タバコ吸う人は知っていると思うけど、プロントとかベローチェとかみたいな安くておしゃれなカフェの灰皿って、ツルツルしていて表面全てに光沢がある。タバコの火を消すとき強くこすりすぎてしまうと、それが「キュ」という感触を引き起こしてしまうときがある。私はあれが苦手。生来、手足の爪先の感覚が無駄に鋭敏なのもあるけど、光沢のある側面を引っ掻くときのあの「キュ」というのは全般かなり不快だ。音も嫌。

でも、その不快な感覚で思い出すことが一つある。小さい頃、家の風呂場に私の転倒防止に、キティちゃんの滑り止めマットが敷いてあった。あれを足で少しこすってしまうと、甲高い「キュ」の音となんとも言えない感覚が爪先から伝わってくる。が、当時私はなぜかその音も感覚も全然平気だった。「キュ」が嫌いだったのは私の父だった。

私は事故的に鳴ってしまった「キュ」に対する父親の反応を初めて見たときから、父親が何かを異様に嫌がっている様が面白くて味をしめてしまい、一緒にお風呂に入ると何度もあの音をわざと出してはケタケタ笑っていた。今、想像すると「ふざけんなクソガキ」と思っていたに違いない父親の心中を察する。

私が生まれたときの父親の年齢すらまだ遠い未来(10年後)だけど、少しずつ、大人に近づくと親の感覚が分かってくる。それが誇らしくて、私はタバコの火を消すとき誤って「キュ」とやってしまうと、不快と同時にすごく大人になった気がして嬉しいのだ。